音楽制作は、じっくりと時間をかけて「作り込む」もの。
故に、PROTOOLSやCUBASEなどの一般的なDAWで作り込んだ楽曲は、即興的に触ってしまうと予期せぬ事態となってしまうため、ライブパフォーマンスには極めて不向きです。
しかし、音一つ一つを作り込んだ状態を即座にライブパフォーマンス-即興-につなげる事が出来れば、、、
どうでしょう?それをかなえるDAWこそが、Ableton Liveです。
もくじ
では実際、どうやって「作り込む」ことと「即興する」事を同居させるのか。
その答えが、Ableton Liveの大きな特徴である「シングルレイアウト」とマルチビュー・レイアウトにあります。
シングルレイアウトは、文字通り「一画面で様々な情報を表示する」レイアウト。
オーディオエディター、MIDIエディター、音色の 読み込みに「ブラウザ」、プラグイン・パラメータの編集には「プラグインエディター」が、それぞれ必要である事は、どのDAWを見ても同じですが、 Ableton Liveではそれらが一画面に、そして理にかなった効率的な配置で治められています。
つまり、「見てすぐに分かる」というレイアウト。
次にマルチビュー・レイアウトについてですが、「アレンジ・ビュー」と「セッション・ビュー」の2つの表示方式が用意されています。
「アレンジ・ビュー」では、一般的なDAWと同様に、縦にトラックが並び、横に波形やMIDIが並び、「左から右へ時間が進行してゆく」というごく 普通のレイアウト。
一般的なDAWと同様に、ボリューム等のオートメーション編集や、トラック>グループバス>マスターアウト等といった「ルーティン グ」、そして当然、オーディオ波形やMIDIの切り貼りを行う事などが出来ます。
対して「セッションビュー」では、正に「セッション=即興」を行うのに適した表示モード。
即興を行うにあたっては、オートメーショ ンを書き込んだり、切り貼りを行ったりする必要がありませんが、逆に、プレイバックしたいオーディオやMIDIなどの「クリップ」は即座に変更が出来なけ ればなりません。
それ故に、「アレンジ・ビュー」で採用されていた「左から右へ時間が進行してゆく」概念を排し、代わりに、再生したいクリップを的確に取 捨選択できるレイアウトが採用されています。
セッション・ビューのクリップは、オーディオやMIDIパターンを配置する事が可能です。
オーディオ・クリップは、ドラムマシンの 様に「ワンショット」で再生する「ワンショット・クリップ」、もしくはAbleton Liveのマスターテンポに自動的にマッチングさせられる「ループクリップ」など扱う事ができます。
下記の動画をご覧頂ければ、よりこの利便性をご理解頂けると思います。
Ableton Liveのエフェクト・コンセプトには主に「作曲用」「ライブ用」と分けられています。
作曲用のエフェクトとしては、コンプレッサーやイコライザーなど、 制作作業に欠かせないスタジオエフェクトが収録されています。
「ライブ用」エフェクトは、正に「作ったものを壊す」事に長けたエフェクターが収録されてお り、聴衆の耳を引きつける魅力と、利用者の心を鷲掴みにしてくれるユニークな能力を秘めています。
例えば、フィルター、DJイコライザー(アイソレー ター)、ビートリピートなどは、PIONEERのDJミキサー内蔵のエフェクトの様に楽しめます。
その他には「Erosion 」の様に「デジタルな感じ」にしてしまうものや「Redux」のようにローファイ・サウンドに変調させてしまうものなど過激なエフェクトも収録。
更にこれらのエフェクトをより活用できる「エフェクト・ラック」という機能により、「1つのノブ」で、「数十ものパラメーター」を、「それぞれ個別の可変幅」で操作する、というマルチエフェクトパフォーマンスさえ可能。
こうした縦横無尽なエフェクト能力は世界中のライブパフォーマーを虜にしています。
Ableton Liveでのライブ・パフォーマーの多くは、「演奏する」のでは無く、これらエフェクトによる「作り上げたものを壊す」という作業を即興的に行っているケースが大半ですね。
以下動画はエフェクト機能の一部を紹介するムービー。3:20位から見ると、丁度良い感じです。
Ableton Liveは、マウスクリックだけでもかなり即興ライブが出来てしまう使い勝手です。
しかし、外部MIDIコントローラーやPCキーボードを利用する方が、 遥かに「音楽的」なパフォーマンスを実現する事が出来ます。
といっても、こうしたコントローラーの設定は、多くのDAWソフトウェアでは難題と捉えられて いるのも事実。
ところが、Ableton Liveは「設定」関係の問題についても驚くほどの簡潔さを持っているため、音楽に専念したいアーティスト達に人気がある、という側面があります。
上述し たコントローラーのマッピング方法は、以下ムービー(3:00から)をご覧頂ければ分かりやすいかと思いますが、ムービーの通り、コントローラーがセット アップされていれば、たったの「4ステップ」でマッピングを完了する事が出来ます。
なお、MIDIコントローラーではなくPCキーボードでも同様に「4ステップ」でマッピングが可能です。
(「MIDI」ボタンを押すとMIDIマッピングモードになる様に、「KEY」ボタンを押すとPCキーボードマッピング になります。)
クリップの再生/停止アサインなどはPCキーボードで済ませてしまうのが良いかもしれませんね。
なおAbleton LiveでのMIDIマッピングは、他のDAWよりも柔軟で詳細な機能を持っている事もAbleton Liveの特徴です。
例えば、「ソフトシンセのパラメータ」を「手元のコントローラーのノブ」にアサインしたとすれば、当然ながらノブを操作するとソフト シンセのパラメータが可変します。
しかし場合によっては「ソフトウェア側のパラメータ値は中途半端(回しきらない)な状態までしか可変させたく無いけど も、手元のノブは回しきりたい」といったニーズに応える為に、「パラメータ可変幅」の設定を行う事も出来ます。
また、手元のコントローラーの「一つのノ ブ」だけで、複数のコントロール値をアサインする事も可能。
つまり、一つのノブでフィルター・カットオフとフィルター・レゾナンス、さらにリバーブの DRY/WETまでを具合の良い感じでコントロールする事などが出来ます。
Ableton Liveシリーズのベーシックモデル。以上までの説明の通りの機能を備え、DAWもしくはライブパフォーマンスツールとしてご利用頂けるモデルです。
ポイントは下記の通り。
Ableton Live Standardに多数のソフトシンセ、サウンドライブラリー、サウンドパッチ、MAX for Liveがバンドルされた、コンプリートパック。
ポイントは下記の通り。
本製品には、「MAX for Live」ソフトウェアが付属しています。
このソフトウェアは、どんなプラグインとも全く異なる性質のソフトウェアで、簡単に紹介すると「プラグインを作 るソフトウェア」。
とはいえ、「MAX for Live」で作られたソフトウェア=「MAX for Liveパッチ」がAbletonウェブサイトには公開されているので、その中から自分の気に入ったパッチを入手し、自らのAbleton Liveシステムへ組み込む事が可能です。
「MAX for Liveパッチ」には、インストゥルメント、エフェクト、Ableton Liveそのものの「挙動」を自分好みに改変する事が可能なシステムパッチなどが公開されています。
全く1からプログラミング、というのは敷居が高い話に なりますが、無償でソフトシンセやパフォーマンスツールが手に入る、というだけでも注目すべき製品です。
Ableton Live Standardの中から「Liveらしい」ベーシックな機能にのみ焦点を絞り、手頃なプライスでの提供を実現したモデル。
利用トラック制限や高度な機能などが割愛されていますが、アレンジビュー/セッションビュー、レコーディングや基本的な切り貼り・エディットは可能です。
ポイントは下記の通り。
Ableton社が提携するMIDIコントローラーやオーディオインターフェースなどに付属する簡易版Ableton Live。多数機能制限があるため、Ableton Liveの真骨頂を堪能する事には向きませんが、全くDAWを触った事が無い方には、まず最初に使うDAWとして非常にオススメのソフトウェア。
また、優待アップグレードが用意されているので、本ソフトウェアを元手として手頃な価格で、以上の各種製品版をお求め良いただく事も可能です。