SENNHEISER EW-D 800MHz帯 デジタルワイアレスマイクの新指標を試す

 今回は発売されたばかりのSENNHEISER社 EW-D(Evolution Wireless Digital) ワイアレスマイクシステムをご紹介します。

 実は発売前に実機を借用しておりました。

 音出し一番!「いまのデジタルワイアレスって音イイなー」が最初の感想です。
 今回 e 835を有線でも接続し、比較してみたのですが、素人さんには有線・無線の区別はつかないですね。正直言って。
 ちゃんとしたシステムで経験者がちゃんと聞けばもちろん違いはわかりますが、例えば会議室、教室、小規模イベントやライブハウスではまったく問題にならないレベルです。

 今回お借りしたのは最も一般的であろう、ハンドマイクとのセット商品「ボーカルセット EW-D 835-S SET」です。
 最新鋭の受信機[ EW-D EM ]と、ハンドヘルド(手持ち)送信機[ EW-D SKM-S ]に定番ボーカルマイク e 835のマイクカプセルをセットした製品です。

 では、詳細見ていきましょう。

もくじ

■開封してセッティング、しかし・・・

 今回はBOSE S1 Pro(先代)に直結。エフェクトも無し。
 とにかくシンプルに、一般の方が小規模会場で使用することを想定してチェックしました。

 お預りした時にゼンハイザージャパンのS氏からは「イージーな製品」と伺っていましたので、最初に音響機器の知識・経験があまりない女性スタッフに「つないで音だしてみ」とマニュアルと一緒に丸投げしてみました。

パッケージを開封
アンテナを装着

 アンテナ、電源アダプタ、オーディオケーブルを接続。ごくごく普通の接続・セッティングです。
 しかし、少したってから「同期が出来ない」とヘルプを求める声が・・・。

 どうやら、AUTO SCAN を使用して同期(受信機のLINK インジケーターの緑色のLED点灯)した後、送信機をミュートにしていたため、緑色のLED点灯(同期状態) → 黄色のLED(送信機側ミュート状態)にすぐに変わってしまったようで、これで「同期していない」と思ってしまったようです。

 でも、この手順はマニュアル通りの操作で、「レシーバーと接続する」の項目には手順として予め送信機を「ミュート」するように書いてありました。

 経験者の我々には何の問題もありませんし、会議場システムなどをプランニングするインテグレーターさんでも何の問題もありませんが、販売店から通販などで製品を購入される企業の総務部の方や学校の先生など、技術的な知識が限られている方にとっては、現行のマニュアルでは(他の点も含めて)少しわかりにくい部分があるかもしれません

 ゼンハイザージャパンさん、幅広いユーザー層の方々にも使いやすいように、もう少しわかりやすいマニュアルにしていただけると、より多くの方に喜ばれるのではないかと思います!

■ワイアードマイクとの比較

 前述のとおり、今回お借りした製品は同社の定番ボーカルマイク e 835のマイクカプセルを備えた製品です。
 そこで、今回は有線の e 835と比較してみました。

 ハンドマイクのスタンダードとして誰もが思い浮かべるのはSHURE SM58 だという事は誰しも異論のないところだと思いますが、音作りの「基準」として、「どのエンジニアさんでも音作りが出来るから」といった理由でスタジオやホールで採用されている側面も少なからずあります。

 そういった観点から考えると、キャラクターが明確な e 835は”マイファーストマイク”としてはむしろもっと選択されるべき候補だと考えます。

 もともと「ヌケの良さ」では定評のあるマイクですが、一番最初に書いたとおり、有線・無線の違いはほとんど感じられませんでした。
 ワイアレスだから「音がこもっている」「音が痩せている」みたいな印象はまったく無くe 835サウンドそのまま。
 会議室や教壇でのスピーチ用途の場合で、細かいイコライジングが出来ない環境下でも声が良く通るので「SHURE 58系ワイアレスマイクセット」よりも素人さんにはむしろ使いやすいのではないでしょうか。

 もちろんボーカル用途でも e 835サウンドのキャラクターそのままなので「際立つボーカル」として主張ができます。モニター的にも有利かな。

 なお、「マイワイアレスマイク」としてライブハウスに持ち込まれる際には、事前に必ずライブハウスにその旨を伝えておきましょう。
 当日いきなり持ち込んでも使わせて貰えない場合がありますよ。

■ユーザー目線の機能性

 受信機本体の操作は知識・経験のある方なら、ほとんどマニュアルは不要と思われます。
 知識・経験の無い方が同期の操作をする場合でも、AUTO SCAN 機能を使用すれば、

・受信機のSYNCボタンを押す
・送信機のSYNCボタンを押す

 それで双方のLINK LED が緑色に点灯すれば使用可能です。ホントにこれだけ。S氏のおっしゃていた通り大変「イージー」です。
 当然電源を切っても、次回そのまま電源を入れれば同期は保持されていますので、意識することなくすぐに使用できるでしょう。

 なお、ハンドヘルド送信機側の電源は純正のバッテリーBA 70 (別売)を使用しますが、一般の単3電池も使用可能です。どこでも入手可能な単3電池が使用できること。これは非常に重要です。

専用充電池の他にアルカリ単3電池も使用可能

 また、本製品を多数同時に使用する場合でも、送信機のON/OFF ボタンを押せば、受信している本体側のディスプレイ表示全体がチカチカと点滅し「ボクが受信してまーす」と教えてくれます。

 さらに本製品は[ Smart Assist App ]というiOSやAndroid のスマートフォンやタブレット端末で使用できるアプリに対応しています。
 Bluetooth で機器と通信し、スマートフォンやタブレットから製品の設定が可能です。
 複数台を同時使用する現場などではとても重宝するでしょう。インストール~セットアップも表示に従って操作をするだけなので、カンタンでした。

■価格について

 「ワイアレスマイクが欲しいなー」と検討する際には当然「価格」は重要なファクターとなります。
 この製品(このセット)は概ね132,000円(税込)あたりで販売されていますが、もっと安いワイアレスマイクのセットは他にもあります(日本で使用してはイケナイ不認可中華マイクなどは論外!間違っても買わないようにご注意を!)。

 なぜ価格が高いのか?答えは、ひとことで言うと

・音が良いデジタルワイアレスマイクだから

 アナログ信号をデジタルに変換するAD。逆にデジタル信号をアナログに変換するDA。この変換を担うAD/DAコンバーターには相当良いパーツが使われているハズ。
 また、音が良いことはもちろんですが「声」に関わるAD/DAに関しては処理速度も求められます。電波としての遅れもあるので、電波を飛ばすワイアレスマイクであれば尚更です。

 ワイアレスマイク、特にデジタルの場合は実際に話した声と、スピーカーから出てくる音に遅延が生じるのですが、スピーチならまだしも、リズムが重要な「歌」であれば歌えなくなってしまいます。
 この製品は1.9ms(!)という低遅延を実現しており、音質も有線マイクと遜色ない折り紙付き。文字通り妥協のないその性能が価格に表われているのです。

 品質・性能を求めた場合のベストな選択肢のひとつとなることでしょう。

■仕様

システム全体
 周波数帯域 (音声伝送):806.125 – 809.750 MHz
 Bluetooth® Low Energy周波数帯域:2402 – 2480 MHz
 オーディオ周波数応答:20 Hz – 20 kHz (-3 dB) @ 3 dBfs
 オーディオTHD:≦ -60 dB for 1 kHz @ -3 dBfs 入力レベル
 ダイナミックレンジ:134 dB
 システム遅延:1.9 ms
 動作温度範囲:-10 °C ~ +55 °C
 動作湿度範囲(相対):5 – 95 % (結露無し)

EW-D EM (T12)(ハーフラック1ch受信機)
 入力電圧:DC 11 – 13 V
 入力電流:≦ 300 mA
 送信電力:BLE: 最大10 mW EIRP
 オーディオ出力電力:最大 18 dBu
 寸法:212×44×189 mm
 重量:約1000 g(アンテナ、電源ユニット含まず)

EW-D SKM-S (T12)(ハンドヘルド送信機)
 入力電圧:2.0 – 4.35 V
 入力電流:< 300 mA
 電源:単三電池(1.5 Vアルカリ)×2、またはBA 70 充電池
 占有帯域幅:200 kHz
 送信電力
  オーディオリンク:10 mW ERP
  BLE:最大10 mW EIRP
 寸法:50×268 mm (MMD 835 マイクロホンモジュール含む)、40×200 mm (マイクロホンモジュール含まず)
 重量(電池を除く):約304 g(MMD 835 マイクロホンモジュール含む)、約195 g(マイクロホンモジュール含まず)

EW-D SK (T12)(ボディパック送信機)
 入力電圧:2.0 – 4.35 V
 入力電流:< 300 mA
 電源:単三電池(1.5 Vアルカリ)×2、またはBA 70 充電池
 占有帯域幅:200 kHz
 送信電力
  オーディオリンク:10 mW ERP
  BLE:最大10 mW EIRP
 寸法:63×80×20 mm(アンテナ含まず)
 重量(電池を除く):約120 g

■EW-D シリーズにはこの他にも用途に応じたセットがあります。

●スピーチ、ボーカルに最適な小型無指向性クリップオンマイク(タイピンマイク)ロホンME 2 のセット[ EW-D ME2 SET ]

●騒音の大きい環境でのスピーチに適した、カーディオイド型のコンパクトなクリップオン(タイピンマイク)マイクロホンME 4 のセット[ EW-D ME4 SET ]

●カーディオイドカプセル付きヘッドマイクME 3 のセット[ EW-D ME3 SET ]

●ボディパックと楽器用接続ケーブルCI 1-N のセット[ EW-D CI1 SET ]

■SENNHEISER社 EW-D(Evolution Wireless Digital)ワイアレスマイクシステム
 のお求めは・・・

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