DAWを販売してもう10年以上になる私の独断で「性格で選ぶDAW」をご提案してみたいと思います。
来る日も来る日もDAWを販売してきた私としては、正直「DAWとの相性って機能・性能よりも性格だよなぁ」と思っておりまして、会話の中でお客様の性格を汲み取ってDAWを提案すると一番嬉しい結果になりがちなのです。
という訳で、本記事は独断と偏見に満ち溢れておりますので、お読みになられる方はご注意ください!
もくじ
つかいやすいおすすめDAWの条件
つまるところ、誰にとっても最良のDAWというものは残念ながら無いと思います。
ぶっちゃけ、私自身も得意なDAWと苦手なDAWがありまして、でも、なぜ、得意・不得意があるのか?を考えてみると、その人の「人柄・性格」によるんじゃないかという結論に。
その上で自分の身の回りの人たちを眺めてみると、「あ〜、あなたは○○○使ってますって感じだわ」という漠然とした納得感もあり、「なるほど、この考え方はなかなかイケる」と思ったものです。
そもそもこんな提案方法の根本にあるのは、今時のDAWはどれも素晴らしい、ということ。
確かに差異はあるけども、以下に並べるDAWを使ったから売れた・売れないなんて事は起こり得ず、結局は「作る音楽」そのものの音楽性とパフォーマンスが鍵だと思うのです。
となると音楽への向き合い方というか、性格にあったDAWを選ぶ事こそが「使いやすい」となり、快適な音楽制作の環境つくりにフィットするのかなという感じ。
ですから、そもそも機能的・内容的・価格的に「これにしよう」と心が決まっているのであれば、この記事はあまり必要ないかもしれません。どちらかといえば、スペックや機能面で比較検討しても選択に困った時の「やぶれかぶれ」として、本記事はオススメです。
さて、そろそろ本題へ。本記事で取り上げるDAWは以下のDAWです。
- Avid ProTools
- Steinberg Cubase
- Apple Logic
- Ableton Live
- PreSonus StudioOne
- ImageLine FL Studio
- Tascam Sonar
- Bitwig Studio
性格別DAW、大きく分けて2種類
相当ざっくりですが、人間も「フィーリング志向」と「論理型志向」の2種類に大別できると思いませんか?
それ、DAWにもあるんです。
フィーリング志向DAW | 論理型志向DAW |
---|---|
|
|
上の表の「番号」は、より志向が強い順番になります。
つまり「4」については「どっちかといえば」くらいのグレーな存在です。
例えば私は「フィーリング志向」の人間ですが、ちょっと論理的な志向も持ち合わせているので、音楽制作(我だけで音楽をつくる)で利用するのはBitwig、ちょっと論理的にも考えるミックスではAvid ProToolsを好んで使います。
そして私の苦手なDAWとは「Cubase」です。(めっちゃ良いDAWだとはわかっているんですが!)
こんな感じで見ていただければ、という感じですね。
では、それぞれのDAWの性格をご紹介してみたいとおもいます。
フィーリング志向DAWたちの傾向
Ableton Live と Bitwig Studio
脳ミソと手が直結している超直感志向DAW
ドレミを考えずに音楽を作ってしまう傾向が強いクラブミュージックの世界で絶大な人気を誇るAbleton Liveと、そのAbletonから派生した次世代型直感DAW Bitwigが、DAW界ではダントツの1位で直感志向。
脳みそを動かす前に手が動く愛らしいアナタにぴったりのDAWです。
あくまでも「ソフトウェア」ですので、コンピュータに明るくない方にとっては、何かとワケがわからない事に遭遇するでしょうが、それでも音楽を作ってしまえたりできる親和性は他のDAWでは見られない特徴ですね。
あと、なんといいますか、このDAWは「まぐれ」で素晴らしい音ができたりしやすく、正に楽器のような存在。
ですからライブで利用する事にも長けているので、やっぱり全力で直感志向の方にオススメできるDAWです。
Ableton Live はこちら、Bitwig Studio はこちら
Avid ProTools
まどろっこしいのが苦手なストレート志向DAW
プロの多くが必ずというほど携わるプロツールス。単純に「パフォーマンスを記録する」という事に長けており、打ち込みで頭を悩ませずとっとと演奏してしまおう!という思想さえ感じる、文字通りプロのツールですね。
ところで「プロのツール」というと何か難しそうに感じますが、実はその逆。プロこそまどろっこしく難解なものは遠慮しがち、その代わりに自らのパフォーマンスや技術でカバーしてしまうものです。
つまりプロツールスとはデジタル世代のウソみたいな驚きの機能に頼らず、シンプルイズベストを突き進むDAWという感じなのです。
とはいえヨタヨタの演奏をまるで凄い演奏かのように編集する事も出来るところは、さすがDAW。
ただ根幹には「シンプルに、良い音で、安定してレコーディングができる」直感志向のDAWです。
Avid ProTools はこちら
ImageLine FL Studio
やれと言われれば色々できるけどフィーリングを大事にしたい人気者DAW
DAWの中ではあれもこれも付いていてお得感満載のDAW、というと「なんでもできるは難解になりすぎて使い辛い」と言われがちですが、、、FL Studioは完全に例外ですね。
シカゴゲットーの知人(彼らはまどろっこしいのが苦手)の間でも圧倒的なシェアを誇っているのですが、それが良い例で、実際の制作としては非常にシンプルな作業プロセスで音楽を作る事ができます。
論理的DAWに比べると「高機能」的な事には引けをとりますが、「根が直感志向な人がDAWで作り込む」には絶妙なバランス感でこれを実現してしまっている、という感じです。
冒頭のとおり、なにせ膨大な音源が付いてくるので「思い浮かんだサウンド」を即座に音にできる点なんかも、ある意味直感志向と言えるところでしょう。
ImageLine FL Studio はこちら
論理志向DAWたちの傾向
Steinberg Cubase
できない事が無い出来杉くんタイプの万能DAW
とにかく音が良く、打ち込みにも強く、ミックス/マスタリングだって完璧にこなしてしまう最強のDAW。
これは絶対に間違いありません。
ただし、この完璧主義者を乗りこなすには、使う方も「完璧主義者」でなればならない側面もあります。「録って切り張りしたいだけ」と手を出したならば、機能が豊富すぎるので作業が複雑に感じられてしまう、と具合になりがちなのです。
逆にいえば慣れてしまえば「便利な機能」が豊富ですから、使い勝手は抜群。
つまりは、最初につまずいたとしても諦めず勤勉に取り組める方にはこれ以上無い素晴らしい相棒となる事でしょう。
ちなみ余談ですが、私の知人では音やリズムを数学的に扱うタイプの方が、Cubaseを愛用している印象があります。
彼らも最終的には音楽はフィーリング、だと述べますが、私のようなチャランポランな人間からすると「考えてグルーブを作っている」ような彼らにとって、Cubaseって本当に相性が良いのだと思います。
憧れる、、、
Steinberg Cubase はこちら
Tascam Sonar
こっそりヤバい事を考えているオタク系万能DAW
根は論理型だけども「今までに無い何か」を具現化したいという方に人気のDAW、というイメージがあります。
Cubaseと同じく音質も機能性も抜きに出た水準を実現したDAWですが、一方で、王道から外れた「一風変わった」音作りというかDAWの使い方を助長するような機能が備えられていたりするので、常識と非常識の境にある「新しい音」を生み出すのに長けている印象です。
つまりSonarはDAWとしての「常識」も必要とされるので、Cubase同様に勤勉さは絶対に必要。
ちょっと不思議なのは、それでいて使い勝手はCubaseよりも優れている気がするのですが、、、もしかして私もヤバい事を考えているオタク系なのかもしれません。
Tascam Sonar はこちら
Apple Logic
イケメン家庭教師的なポッと惚れてまう人気DAW
「使い勝手」さにセンスが光る、芸術家志向の方に人気のDAW。
やはりGarageBandという絶大な初心者DAWがベースにあるプロフェッショナルDAWという事もあってか、扱いやすさは良いのですが、一方で打ち込み関連の能力もきっちり押さえられており、それらがAppleらしくハイセンスさでまとめあげられている感じですね。
ただし正直、その他のDAWと比較すると付属プラグインなど音質面での不安感は拭いきれないところ。「男は黙って一発録り!」だとか、気合いの入った無骨な音楽制作者とLogicの相性はすこぶる悪い傾向にあります。
とはいえLogicでクラブヒットを生み出すアーティストも多く、決して悪いものではないので、これから真剣に音楽制作に向き合いたい方にはオススメですね。
※当製品は弊社では取り扱っておりません。
PreSonus StudioOne
実は賢いくせにバカになれる愛すべき人格者DAW
Cubaseを生んだDAWデザイナーが生みだした新DAW、という触れ込みで登場したものですから、Cubaseが苦手な私としては「うわぁ、難しいんだろうなぁ」と気が重かった記憶がありますが、実際に触ってみると驚くほど直感的。
しかも巷でのウワサ通り、音質が素晴らしく、機能性だってCubaseやSonarに引けを取らない本格派。
いやはや次世代を担うDAWとはこういうものであってほしい!と想い、現在は私も愛用しているDAWです。
使い勝手としては「DAW初心者を意識している」と思うほどわかりやすい印象ですが、ドンドンと奥深くへ入っていける構造になっているので、突き詰めればデジタルならではの魔法な機能もあったりして、非常に好感の持てるDAWです。
これは個人的な意見ですが、やはり新しいDAWという事もあり、他のDAWと比べると不安定さが気になるところ。
これについては仕方ないですが、本格的なDTMerさんにはサブDAWとしてオススメしたい具合ですね。
まぁ、最近ではそうした事にも遭遇しなくなってきましたが(´-`).。oO(ってことはStudioOneをメインにする時期がきたのかなぁ)
PreSonus StudioOne はこちら
すっごくすっごくすっごくためになりました
文章構成から内容まで素晴らしすぎます
ありがとうございます
ありがとう御座います!
また面白い切り口、面白い案があれば更新したいと思いますので今後とも宜しくお願いします!
なにか「リクエスト」、例えば”使い方” ”音の比較”などなど、、、頂けたら、その切り口でガンバってみたいとも思ってますので、お気軽に応援していただけると幸いです〜
この記事読んでABLETON lIVEに決めました。
ちなみにCUBASEも使ってみましたが、まったく使えませんでした。
ABLETONは使えてます。この記事の通りですね。
ありがとうございます。
ご丁寧に御礼ありがとうございます!
あくまで私個人の経験談でしたので、よかったです!
私も実は「直感派」、Ableton Live大好きです笑
お互い楽しみましょう!!!