もくじ
APOGEE GROOVEをレビュー
「あぁ、またAPOGEEも廉価版・宣伝目的インターフェース出すのか〜」みたいな声がチラホラ聞こえ、それに対して僕は声を大にして言いたい。
いや、それは全然大間違いですよ!
と。
このAPOGEE GROOVEは、競合他他社とは違い、スタジオ・クオリティを超絶コンパクトに収めた画期的なインターフェース(USB DACヘッドフォンアンプ)です。
割り切ることで得られた本格仕様
APOGEE GROOVEは、「コンピュータからヘッドフォンに出力する」、というだけの製品。
ステレオミニフォーン出力が備わっているので、繋ぐという意味では「ステレオミニ > Y字ケーブルでスピーカーへ」という形も考えられなくないですが、APOGEE GROOVEの場合、ヘッドフォン側のインピーダンスを検出し、自動でインピーダンスマッチングを行い、そして出力するという構造を持っているため、、スピーカーへの接続もあまり推奨されるべきものではない、という代物です。
では「そんなにピンポイントな仕様が、なんでオススメ?」という事ですが、それは「ヘッドフォンを用いた場合の音質は、最高級クラスのスタジオ品質」という仕様であるからです。
多くのDTM愛好家が注目すべき、ヘッドフォン・クオリティ
昨今の日本の音楽環境は、ご近所や家族への騒音配慮などもあって「ヘッドフォン」で作業することが少なくないそうです。というか、僕自身もそうなのですが。
となると、結構重要なポイントは「オーディオインターフェースのヘッドフォンアウトの質はどのようなものか?」ということを、もっと注目したほうが良い状況にあるといえます。
少し話は逸れますが、、、、
オーディオインターフェースのスピーカーアウトの音と、
オーディオインターフェースのヘッドフォンアウトの音は、
技術仕様上、絶対に異なります。しかし、それを補正するためにヘッドフォン側の「音質チューニング」を行い、製品化されていることが一般的です。ただし、製品によってはこのチューニングが十分でなく、スピーカーアウトとヘッドフォンアウトの間に大きな音質差が生じたままのモデルが少なくありません。
例えばプロのアーティストさんがプライベートスタジオ構築のために幾つかのIOを比較試聴するような場合、モデルによっては「スピーカーはいい感じだけど、ヘッドフォンの音質がなぁ、、、」、みたいな話がしばしばあるんですよね。
こうした話はそれほど珍しい話ではなく、しかも10万円以上の高級オーディオインターフェースであっても起こりうる(実際起こっている)問題でもあります。
つまり、高額な製品を所有しているとしても、そのモデルが最も理想とするサウンドはスピーカーからのサウンドの事であって、あくまでもヘッドフォンアウトは「スピーカーアウトのサウンドを追いかける」ような向きで作られている傾向があります。
だから、ヘッドフォンアウトのクオリティに注目したほうが良い、というわけですね。
強力なマシンスペックが生んだ現代の音楽事情
いまやカフェやベッドルームで音楽を作る事は珍しい事ではありません。
それが十分行えるマシンスペックが提供される現代において、むしろ、そうした時間と気分を大切にした制作スタイルは、もっと浸透するべきだと思います。
しかし唯一の問題は、モニタリング環境。
ノートPC備え付けのスピーカーでは問題外、アウトプット端子からヘッドフォンならば、まだスピーカーよりはマシですが、オーディオインターフェースを利用するほどのハイクオリティ、ましてやスタジオクオリティなどは夢のようなお話です。
そこでAPOGEE GROOVE。
見ての通り、接続性も操作性も明らかにシンプルで持ち運ぶ事が容易ですが、その音質は完璧なスタジオクオリティ。コンパクトインターフェースなどでは遠く及ばない表現力や豊かなサウンドを、カフェやベッドルームであっても提供してくれます。
良い音で音楽を楽しみたい人へも。
音楽を聴く、という楽しみを広げてくれる製品として、APOGEE GROOVEの存在価値もあります。
現在のハイレゾブームなど巻き起こすきっかけともなったPCオーディオなどと呼ばれる「聴く事を楽しむ」分野にとっても驚くべき最高の一品です。
APOGEE GROOVEは、その他USB DACと比較すると非常に低価格ですが、DACにはこだわり抜かれており、ESS Sabre32 ハイパー・ストリームDACが採用されています。
最近は独自開発やCirrus Logicなどコスト面を考慮したモデルが多いなか、最もデジタル臭くならない為に重要なDACに対しては徹底したこだわりようです。
また「信者」が多い世界とは異なり、「プロオーディオ」の世界で実績を作りあげた世界のブランドAPOGEEの選別という事で、その信頼性も抜群。
まとめ
APOGEE GROOVEは色々な側面から見て「本物」という一品。
39,800円という価格が、この驚愕のスペックからして驚きのプライシングです。
これが原因で「廉価品かー」と言われてしまうのでしょうが、内容には間違い無い一品ですので非常にオススメ。
またAPOGEEの単体商品としては珍しく、本製品はWindows・MACに対応しています。
Windowsタブレット「SURFACE」でも動作確認済みのようですので、よりモバイルな環境での利用にも非常に最適ですね。
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