とにかく「数が多いほど良いのだろう」という印象が強いWAVESバンドルですが、現代は「賢く取捨選択」する時代。
不要なものには1円も使いたく無いものです!
というわけで、今回はWAVESバンドルの二大主要製品「WAVES GOLD」「WAVES PLATINUM」を比較、そしてバンドルに含まれる単体プラグインのご紹介をしてみたいと思います。
「GOLD」「PLATINUM」の比較
まず前置きとして、この2つのWAVESバンドルは「さまざまな用途に最適」な内容となっています。
つまり、方向性は全く同じな訳ですね。
ですから「PLATINUM」に対して下位モデルである「GOLD」に含まれる単体プラグインは、「PLATINUM」にも含まれています。「PLATINUM」には、「GOLD」にはない何かがあるというわけですね。
では具体的に、どんな内容でどんな差があるのかを見てみましょう。
GOLDに含まれるプラグイン | PLATINUMにだけ含まれるプラグイン |
---|---|
AudioTrack C1 C4 DeEsser Doppler Doubler Enigma GTR3 H-Comp H-Delay IR Convolution Reverb L1 Ultramaximizer MaxxBass MetaFlanger MondoMod PAZ PS22 Q10 Renaissance AXX Renaissance Compressor Renaissance EQ Renaissance Reverb S1 SuperTap TrueVerb UltraPitch V-Comp V-EQ3 / V-EQ4 Vitamin Tune-LT MV2 |
L2 L3 ULTRA(LLも) LINER PHASE EQ LINER PHASE Multi Comp Maxx Volume OneKnob Driver Puigtec EQ Renaissance Bass Renaissance Channel Renaissance Deesser Renaissance Vox |
※2016/11/01現在のバンドル内容比較。最新の内容は日本正規代理店をご確認下さい。
こうして数だけ見ると「大した差は無いなぁ」と感じますねぇ。プラグインってアレコレありすぎて本当に難しいですね。
ですがここに「小さくないメリット」があるわけです。
では「PLATINUMだけに含まれる」内容にクローズアップしてみたいと思います。
WAVES PLATINUMを選ぶメリット
後ほどWAVES GOLDの詳細なご紹介をいたしますが、WAVES GOLDを簡単に言えば「プロ並みのミックスを仕上げるのに有意義な基本バンドル」という、感じ。
つまりプロが気にかける「基本」をきっちり押さえる事ができるバンドルだという事ですね。
それに対してWAVES PLATINUMは、もう一歩進んで「プロが日常的に仕立てる技術を実現するのに必要な基本バンドル」。つまりWAVESでプロクオリティを得ようと思うと、WAVES PLATINUMは必要だよ、という事ですね。
その理由こそが、数だけ見ると大した差が無い、と思えるプラグイン群にあるわけです。
では、それらをご紹介してみたいと思います。
市場標準の「音圧」を稼ぐ事ができるL3
L3 ULTRAは、同シリーズのL1、L2よりも更に音圧を稼ぐ事ができる業界標準マキシマイザーです。
「音圧を稼ぐ」という作業にはアレやコレやと工夫を必要とされるものですが、びっくりするぐらい簡単に市場標準ほどの音圧を稼ぐ事ができるのがL3の特徴です。
当たり前ですが「音圧が上がる」だけで「音が変わる」という事が非常に少ないのがL3の特徴。
このうちL3 MULTIは「5分割した帯域それぞれにマキシマイズ、なるべく元とも違いが生じないように」というタイプですが、当然、分割してしまうとバランスは変わってしまいます。
そこで帯域を分割しないL3というのが、PLATINUMに付属する「L3 ULTRA」です。
ちなみにL1、L2も帯域を分割しないマキシマイザーですので、簡単に考えると「L1、L2の上位互換がL3 ULTRA」という感じですね。
あと「L3 ULTRA-LL」というプラグインも付属します。
「-LL」というのは「Low Latency(ローレイテンシー)」の略で、つまりはレイテンシーが小さい版のL3 ULTRAという事です。例えばドラムのグループトラックに使ったり、レイテンシーを極力抑えたいライブで利用する、という場面で重宝するモデルという感じですね。
マスタリングで重宝するLINEAR PHASEシリーズ
イコライザーやコンプレッサーなど、音声に何らかの変調を与えるプロセッサーは「位相」を狂わせてしまい、単に音量を変化させる以外の変化を生み出してしまうものです。
しかしLINEAR PHASEシリーズは、そうした「位相」の狂いを殆どゼロに抑えて利用できる、よりマスタリングに最適なプロセッサーです。
つまりは「意図しない些細な音質変化を起こさず、イコライジングやコンプレッションができる」プロセッサーが、このLINEAR PHASEシリーズというわけです。
プロフェッショナルな意識を持って音楽を触るのであれば、こうしたプロセッサーは一つは必要ですので、以外と欠かせないところ。だから、殆どLINEAR PHASEシリーズしか含まれていない「WAVES MASTERS」なんていうバンドルが存在しているわけです。
そう考えると、WAVES PLATINUMって割とお買い得なんですよ(笑)
様々な再生環境に対応したトラックを生み出すプロセッサー
再生環境によって、極端に音楽が変化してしまう理由は、再生環境の「低音」の再生能力によるものです。
ジャクソン5などで有名なモータウンレコードは、全盛期のその時代に最も一般的であった「ラジオ」での再生を最重要としてミックスしていた、なんて話は有名な話ですが、つまりプロになると「その曲がどんな場所でかかるのか」なんてことも考えるわけですね。
つまり現代に置き換えるならば「ウーハーを備えた環境ではパワフルな低音を、ノートパソコンやテレビなどの環境でもしっかり低音の存在感を」という整え方が理想的。
そんな夢のような効果を実現するのが、「Renaissance Bass」です。
Renaissance Bassは、本来の音に対して「違和感の無い高い音」を増強させる事で低音に非力なスピーカーでも「低音感」を生み出す事ができるプラグインです。感覚的には音が太くなる感覚ですね。
もちろん付加ボリュームの調整や、付加帯域の調整もできるので、本来の音に対してなるべく違和感の無い様にエディットする事も可能です。
よりリアルなアナログサウンドが得られ「独自性」を生み出せるEQ
Pultecというブランドの伝説的なEQ二つを忠実にモデリングしたPuigTec EQP-1A + MEQ-5 EQが付属。
このプラグインの開発は、実機を所有する世界的エンジニアのJack Joseph Puig氏が監修しているので、非常にリアル(らしい)。100歩譲って「本物に似ているかどうか」はさておき、非常に、圧倒的な、アナログ感を持ったイコライザーです。
ところでアナログサウンドというのは、クリエイター視点でも魅力ではありますが、エンジニアリング視点でも非常に魅力でもあります。つまり、単に音を整えるだけでなく「なんかわかんないけど、雰囲気がすごく良くなった!」といってもらえるような独自性の高いエンジニアリングの隠し味として、アナログプロセッサーは非常に重宝するからです。
原音に忠実なプラグインプロセッサーは、クリーンである事の引き換えに、特徴がありません。
音楽には「特徴」が重要で、そうした事が見直されてきた現代には、ある意味で必須のプロセッサーといえます。
まとめ
全ては取り上げませんでしたが、つまりWAVES PLATINUMは「プロのエンジアが普段気にかけている事」を実現してくれるプロセッサーが多く、そしてこうした特長をもつプロセッサーは「WAVES GOLD」には含まれていません。
つまり、個人スタジオをやっている、ミックス/マスタリングを本格的にしたい、レーベルに売り込みたいクラブトラックを作っている、などという方々はWAVES PLATINUMは非常に重要なバンドルであるといえます。
むしろ、クオリティが非常に高い現代ではWAVES PLATINUMは「必要」だといっても、あながち間違いでは無いかもしれません。
ところで、いきなり「まとめ」に入ってしまいましたが、、、、
WAVES PLATINUMだけで、あまりにも記事が長くなってしまったので、、、「WAVES GOLD」については、また後日におって投稿します!WAVES GOLDについて、別途記事を作成しました!
WAVES PLATINUMの基盤となるWAVES GOLDの各プラグインをご紹介しておりますので、そもそもWAVES GOLDを手に入れるメリットは?という方は以下の記事もご参照ください!
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