iLOKは、ソフトウェアのライセンス(所有証明情報)を格納するためだけのUSBデバイスです。
こうしたものは「ドングル」などとも呼ばれ、「ソフトウェア起動時にドングルがコンピュータに差さっていればソフトウェアが起動できる」という使われ方をするものです。
こうしたドングルでのライセンス管理を採用するソフトウェアは世に多く、その中で圧倒的なシェアを誇るのが「iLOK」です。
そもそもドングル方式のライセンス管理のメリットというのは、ソフトウェア側で固有情報(ライセンス)を持つ必要がなくなるので、他人のコンピュータにインストールされたソフトウェアでも自分のドングルが認識されれば起動できるところ。
つまり、自宅のデスクトップPCとiMac、持ち出し用のMacbook Airというように3台のコンピュータを持っていたとしても、全てのコンピュータへソフトウェアをインストールでき、さらに手元にiLOKさえあれば起動まで可能ということです。
もくじ
iLOKを使う
「ライセンスが格納されたiLOKがあればソフトウェアが起動できる」ということですが、「iLOKへライセンスを格納する」という作業は手動で行う必要があります。
※中にはiLOKにライセンスが含まれた状態で製品提供される場合もあります
iLOKへライセンスを格納するためには「iLOKアカウント」と「iLOK License Manager ソフトウェア」の2つが必要となります。
まず「iLOKアカウント」、これはiLOKキーを生産・提供しているPACE社のウェブサイトにて無償で作成が可能です。
アカウント作成すると、様々なメーカーのソフトウェア・ライセンスを「受け取る」ことが可能になります。
そして「iLOK License Manager ソフトウェア」、こちらもPACE社のウェブサイトより無償ダウンロードが可能です。
このソフトウェアは「iLOKアカウント」と「iLOKキー」のライセンスを「管理」することができます。
つまりiLOKでのライセンス管理の概念は、銀行みたいな具合。
- iLOKアカウント → 自分の銀行口座
- iLOK License Manager ソフトウェア → 銀行のATM
- iLOKキー → キャッシュカード入りのお財布
という具合でしょうか。
つまり大まかな流れとしては
- ライセンス(お金)を自分のiLOKアカウント宛(口座)にて受け取る
- iLOK License Mangerソフトウェア(ATM)で、iLOKアカウント(口座)からライセンス(お金)をiLOKキー(財布)に移動する
という具合。。。。
余計わかりにくくなったか(笑)
iLOKアカウントについて
iLOKのご利用には、PACE社でのiLOKアカウントが必要です。
これはソフトウェアメーカーがライセンスを発行する際に、「発行先のiLOKアカウント」が必要となるためです。
この「発行先のiLOKアカウント」をソフトウェアメーカー側で示す際に使われるのが「iLOKアカウントID」です。
ライセンスを自身のiLOKアカウントに発行する際に要求される情報ですので、アカウント作成時には大切に保管するようにしましょう。※もちろんパスワードも!
すごく怖い話をしますが、「iLOKアカウントID」を失うとライセンス所有権を失ったと同じ、つまりソフトウェア全てが無くなるのと同様のことになりますので、要注意です。
iLOKアカウントの作成
そもそも「iLOKアカウント」って何なのさ?という話ですが、「アカウント」をウィキペディアを調べるとこうなっています。
コンピュータ用語でのアカウント (account) は、ユーザーが特定の領域(ネットワークやコンピュータなど)にログインするための権利のことである。また、ユーザーとは、コンピュータシステムの利用者を意味する(エンドユーザー参照)。ユーザーに割り当てられたアカウントをユーザーアカウントとも呼ぶ。
例えば、ネットワークにログインするためのアカウントや電子メールを送受信するためのアカウントなどがある。アカウント (ID) には、パスワードが関連付けられており、利用者はアカウントと併せてパスワードを入力することにより、ログインする権利を認められたネットワークやコンピュータにログインすることができる。権利 (ID) とパスワードを合わせてアカウントと呼ぶこともある。
今ではほとんどの方がTwitterやFacebookなどのWEBサービスを利用されている事と思いますが、例えばFacebookサイト上の自分のページ、、、、これを「アカウント」などと呼びます。
つまり「iLOKアカウント」というのは「PACE社ウェブサイト上での自分のページ」というニュアンスですね。
さて、アカウントの作成作業はSNSのアカウント登録と大差ありません。
しかし全て英語表記なので、英語が苦手という方のために手順をご案内してみたいと思います。
作成の作業手順
1、iLok.comへアクセスする。
2、Create AccountからiLOKアカウント作成ページへアクセス
3、続いて、入力画面が表示されるので必要事項を入力
ポイント!:「User ID」は任意の半角文字列、「First Name」は名前、「Last Name」は苗字です。
4、本登録の為のメールが指定したアドレスに届くので、確認してメール内のURLにアクセスします。
以上でアカウントの作成は完了。
文字の入力は半角の英数字で行う必要があります。
またパスワードに関しては英数字を混在させた上で、アルファベットは大文字小文字の両方を使う必要があります。
当然ですが海外サイト、日本語で入力してしまうと弾かれてしまいますので注意しましょう。
ライセンスの管理について
ライセンス管理は「iLOK License Manager」ソフトウェアにて行います。
このソフトウェアは「iLOKアカウント内のライセンス情報」と「iLOKキー内のライセンス情報」を操作・管理するソフトウェア。
つまりiLOKアカウントの作成後は、ほとんどiLok.comサイトにアクセスすることは無いということです。
さて、「iLOK License Manager」ソフトウェアはPACE社のウェブサイト「iLok.com」にて無償で入手可能です。
iLok.comトップページには、上の画像のようなダウンロードリンクがあります。
ご利用の環境に合わせて必要なソフトウェアをダウンロードし、インストールしましょう。
まずはじめに
管理を始める前に「管理」の基礎を。
作業の準備は、ライセンス管理したいiLOKキーをコンピュータに接続し、iLOK License Managerを起動。
iLOK License Managerで「Sign In」する(iLOKアカウントのログインID/パスワードを使用)
これで準備は完了です。
じつはこれで「iLOKアカウント」と「iLOKキー」が「紐付いた」事にもなります。
そして、以下の基礎事項があるので、まず頭に入れておきましょう。
- iLOKキーは、1つのiLOKアカウントに対して、複数のiLOKキーを紐づける事が可能
- 1つのiLOKキーを、複数のiLOKアカウントと紐づける、という事はNG
- iLOKアカウントに存在するライセンスは、アカウントに紐づけられたiLOKキーの内、いずれか一つにだけ移動できる
- 例えば「iLOKキーA」に格納したライセンスを「iLOKキーB」へ移動する場合、「AB双方のiLOKキー」が必要
ライセンスを管理する性質上、同時に2つ以上の利用ができないよう以上の規則がある訳ですね。
また、いずれかのiLOKアカウントに紐づけられたiLOKキーは、そのままでは他のiLOKアカウントで使用することができないという事も後々効いてくる大切なポイントかもしれません。
※他のアカウントで利用できるようiLOKを再利用する方法は後述します。
ライセンスを移動する
同じiLOKアカウント内であれば、自由にiLOKキー間のライセンス移動が可能です。
この際は「ACTIVATE」や「DEACTIVATE」という作業を行います。
通常はこの方法のみでのご利用となるでしょう。
これとは別に、例えば「新しいアカウントへライセンスを移設する」とか「ライセンスを譲渡する」といった場合、iLOKアカウント間のライセンス移動が必要となりますが、この場合は「TRANSFER」と呼ばれ、有料での作業となります。
では、それぞれの特徴をご紹介してみましょう。
ACTIVATE / DEACTIVATE
一つのiLOKアカウント内でライセンス移動を行う場合はこの方法でライセンス移動を行います。
iLOKアカウントに紐づけされたiLOK同士であれば、回数の制限もなく自由にライセンス移動が行えます。
基本概念としてライセンスは、iLOKアカウントから対象のiLOKキーに「ライセンスを貸し出す」というような具合です。
移動可能なライセンスは、「Sign In」でクリックしたアカウント・ボタンを押すと表示される「ライセンス・メニュー」の「Available」にて操作が可能です。
ACTIVATE(アクティベート)
ACITIVATEは、iLOKアカウントのライセンスを任意のiLOKキーへ移動(アクティベート)する際に利用します。
ライセンス・メニュー「Available」で表示されるライセンスが、任意のiLOKキーへ移動可能です。
移動したいライセンスがここに無い場合、「All Activations」にて、どこにアクティベートされているかを確認できますので、後述の「DEACTIVATE」を行い、改めて作業しましょう。
さて、ライセンス・メニュー「Available」内のライセンスを選択すると、下段のDetails欄にライセンス情報や右手には「Activate」ボタンが表示されます。ここで「Activate」をクリックすると、新たなウィンドウが表示されますので、移動対象のiLOKキーを選択し「Activate」をクリック、すると「Confirm Activation」というアラートが出ると思いますので、「OK」でライセンス移動(アクティベート)が実行されます。
※移動対象のiLOKキーが表示されない場合は、コンピュータに正しく対象iLOKキーが認識されていませんので、接続など諸々確認してください。
※アラート内容は「ライセンスをここからこっちへ移動しますけど良いですか?」というような内容です。
※Activate中はiLOKキーを絶対に抜かないでください。
DEACTIVATE(ディアクティベート)
アクティベートの反対、ライセンスをiLOKキーからiLOKアカウントへ移動する際にディアクティベートを行います。
対象のiLOKキーをコンピューターへ接続し、アカウントボタンの下、ローカルライセンス欄より対象のiLOKキーを選択すると、ライセンス欄にアクティベート中のライセンス一覧が表示されます。
ここでディアクティベートしたいライセンスを選択すると、Detail欄に「Deactivate」ボタンが表示されます。
あとはアクティベートボタンを押した時と大体同じ具合で進めると、ライセンスを「iLOKアカウント」へ戻すことができます。
Transfer
異なるiLOKアカウント間でライセンスを移動する場合、つまり「新アカウントへライセンスを移動する」とか「ライセンスを他人に譲渡する」際には、Transferを行います。
Transferは有償となり、1つのライセンスを1回移動するごとに課金されます。
また、一部のライセンス(アカデミック版など)では不正使用防止の為、一切Transferができないものもあります。
Transferをする場合は事前に対象ライセンスが「Transfer」に対応しているかを確認してください。
アカウントに紐づけされたiLOKキーを解放するには?
iLOKキーからすべてのライセンス情報をiLOKアカウントへ戻す、つまりiLOKキーのライセンスを空にする事で「フリーなiLOKキー」として再利用する事が可能です。
iLOK License Managerにて、対象のiLOKキーを選択した状態で「Show Details」を開き、続いてソフトウェア・ライセンスを選択しDetailsメニューから「Deactivate」、こうして全てのライセンスを消し終わると、Detailsメニューに新たに「Remove iLok From Your Account」が現れるので、これでiLOKアカウントとiLOKキーの紐づけを解除できます。
もしもiLOKが破損してしまったら・・・
iLOKが壊れてしまうと、アメリカのPACE社へiLOK本体を送ってライセンスの再発行が必要になります。
これには最低でも2週間の期間を要するため、日常的にiLOK内にライセンスの入っているソフトウェアを使う人にとってその期間は致命的といえるでしょう。
この使用不可期間を穴埋めできる「Zero Downtime」という有償の保証サービスがあります。
どんなものかというと、、、、
ZERO DOWN TIME
ゼロダウンタイム(ZDT)はiLok.com/PACE社が提供する、iLOK1本単位の有償保証サービスです。
ZDTを特定のiLOKに対し追加契約しておくと、そのiLOKが破損したり盗難にあったり紛失したりした際に、iLok.comでRMAの申請を行うだけで、そのiLOK内にあった(最後にiLOKアカウントにiLOKをシンクさせた時点での)ライセンスのテンポラリ・ライセンス(期間限定の仮ライセンス)がすぐにiLOKアカウントにデポジットされます。スペアのiLOKを用意してそれらのライセンスをダウンロードをすれば、iLOKオーソライズ方式のアプリケーションを使った作業の中断期間を最少に抑えることが出来ます。
という訳で、要するに「ライセンス保険」のようなもの。
事前に契約をしておくことで元々iLOKに入っていたライセンスに限り14日間有効な臨時ライセンスを発行してくれるというサービスです。
これに加入しておけば故障・紛失・盗難に見舞われてもライセンスを使用できない期間を最小限に留める事ができます。
Zero Downtimeの注意点
- 有料であること。
- 契約はアカウントに対してではなく、iLOK 1本に対しての契約となること。
- 紛失・盗難の場合には別途オプションサービスTheft & Loss Coverageを追加する必要があること。
これは年額の有料サービスなので、ご自身が必要かどうか確認した上で契約するようにすると良いと思います。
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