新境地のステージピアノ、NUMA COMPACT 2

その演奏性能の高さをご紹介させて頂いた前モデル「NUMA COMPACT」の記事は大変反響を頂き、「軽量で使えるライブキーボード」として多くの方にお求めも頂きました。

 

そしてその基本性能を受け継ぎながらウィークポイントを淘汰した新作「NUMA COMPACT 2」が登場。

 

世界的な楽器の祭典「NAMM SHOW」で非常に注目を浴びた本製品に、今回は迫ってみたいと思います。

 

 

 

「完璧」へと生まれ変わったステージピアノ

多くの方がステージキーボードに求められる性能というものは、、、、

  • 女性でも持ち運びが容易な「軽さ」
  • それだけでライブをしてしまえる「サウンド」
  • それでいてハイレベルな演奏者でも満足ができる「演奏性能」

かと思います。

 

前モデル「NUMA COMPACT」は、このうち「演奏性能」「軽さ」に関して他の追従を許さない素晴らしさを誇っていましたが、残る「サウンド」に関しては疑問の残るところでした。

 

そこで新製品となる「NUMA COMPACT 2」は、この「サウンド」の面が見直され、贅沢にもシリーズ最高峰の音源を搭載。

 

まずはこの点をクローズアップしてみたいと思います。

 

 

 

NUMAシリーズ「最高峰」の高品位音源を採用

驚く事に上位モデル「NUMA STAGE」「NUMA CONCERT」だけに内蔵されていたNUMAシリーズ最高峰音源が、NUMA COMPACT 2に採用されています。

 

それでも満足頂ける方が多かった音源ではありますが、studiologicの位置付けとしては「もっとも低品質」であった前モデルの音源から比べると、かなりかけ離れたレベルにまで向上したというわけです。

 

びっくりしたのは搭載音源数が全88音色、、、、

なんと上位モデル「NUMA STAGE」「NUMA CONCERT」以上の音色が搭載されているという点。

 

つまり現時点のNUMAシリーズ最高峰音源というわけです。

 

 

 

NUMA COMPACT 2 音源試聴

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソフトウェアに負けないリアリティを「ストリング・レゾナンス」で

「NUMA STAGE」「NUMA CONCERT」の音源が搭載ということでピンときた人がいるかもしれませんが、NUMA COMPACT 2の音源にはアコースティック・ピアノ音色での「ストリング・レゾンナンス」を調整できます。

 

「ストリング・レゾナンスとは?」という方のためにこれを簡単に説明しますと、、、

 

グランドピアノにはご存知の通り「弦」が貼られており、これをハンマーが叩くことで弦が鳴り、その音が響板を響かせています。

これを単純に考えると「ハンマーが叩いた弦」だけが音を鳴らしていると思いがちですが、実際には響板の共振で「叩いていない弦」が音を発したり、そこで混じり合った複雑な共鳴が起こったり、、、こうした現象が私たちを「ああ、本物のピアノの音だ」と感じさせるのだ、という事がわかっています。

 

多くのピアノ音源では「弦を単一で引いた」音でサンプリングされているため、上記の共鳴共振で生じる音が含まれていません。これでは「リアルな1本の弦(響板)の音」を努めて再現したところで本物のピアノの音とは感じられにくいというわけですので「共鳴共振(ストリング・レゾナンス)」を加えリアルなピアノの音を実現してしまおう、という技術がストリング・レゾナンスと呼ばれています。

 

 

ストリング・レゾナンスに注目が集まったのは、あまりにも優れた音質のため、今やプロの間でも「生のピアノ録るよりコレ」とさえ言われる「SYNTHOGY IVORY」ソフトウェアでしょうか。

ソフトウェアが「たかがソフトウェア」と思われていた時代に「ソフトウェアでもスゴい」という変革を起こしたその実力の秘密には、こんな技術が採用されていたというわけです。

 

 

さて、そんなストリング・レゾナンスですがNUMA COMPACT 2では上位モデル「NUMA STAGE」「NUMA CONCERT」以上の精細さである「32ステップ」で調整が可能。(NUMA STAGE、NUMA CONCERTは10ステップ)

 

1ステップの変化度合は自宅利用程の音量では差を感じられないかもしれませんが、大音量のステージでは活きてくる精細さです。

 

 

 

贅沢なサウンドをより研ぎ澄ませるエフェクト

エフェクトも多数追加され、サウンドを即席で変化・調整できるのでライブ利用では非常に重宝するでしょう。

 

個人的に「これは!」と思ったのはリバーブに「プレート」「スプリング」が追加されていること、そしてマスターEQの搭載で「ベース」「トレブル」が即座に調整できるようになったこと。

 

 

使えるリバーブが新搭載

まずリバーブ、新たに追加された「プレート」「スプリング」は特にナマモノの楽器との相性が良いことでボーカル界隈やギター界隈で広く人気のリバーブです。

 

そもそも搭載されていた「ルーム」「ホール」リバーブは、普通のショート/ロングリバーブで当たり障りなく残響が欲しい的には重宝しますが、「ソロ」などの音が浮き上がる状況では「少し癖があるくらいの特徴的な残響」が欲しくなったりします。そういう時に、今回搭載された「プレート」「スプリング」リバーブは重宝するでしょう。

 

さてそんな2つのリバーブはどんなんだ、というところを個人的な意見で述べさせて頂きますと、、、

非常に自然なリバーブでデジタル臭さが薄く、音との馴染みが良いように思いました。

 

もちろん昨今のDAWで使うミックス/マスタリングリバーブや個体ハードなどと比較するのは酷というものですが、この価格としては期待通り使えるリバーブだという感じです。

 

特にプレートリバーブは「滑らかに立ち上がってくる感じ」が再現されており、深い世界観・存在感を演出したい時にオススメ。

スプリングリバーブの方は非常に控えめな感じですが、独特の硬質でヒヤッとした感じが再現されており、アタックの強い音色のアタックを、さりげなく香らせるのに良いです。

 

 

どんな会場でも適切にサウンドコントロールするマスターEQ

次にEQですが、これはライブ時に非常に活躍するでしょう。

 

というのも現場によって音響は異なるわけですから、必ず「思い描く音と違う」という事が起こります。

そんな時、EQがあれば即座にサウンドコントロールができるからです。

 

このEQはトップパネルに用意されているので「手を伸ばせばスグに」調整できるところも重要。

「パラメータ設定の深いところ」に行かなくても即座に調整できるので、使い勝手は抜群です。

 

※EQとは?:イコライザーのこと。NUMA COMPACT 2 では「トレブル(中高域)」「ベース(中低域)」の2つノブが用意されており、これでそれぞれに増減ができます。

 

 

意外に使える!?新搭載エフェクト「ドライブ」

電子ピアノでは「音色そのもの」の表情を変える事が難しいものですが、時として「音の強弱」ではない音の荒々しさ・過激さを求めたくなる時があります。

 

そんな時に重宝するのが、この「ドライブ」エフェクトです。

 

12時まではオーバードライブ風、12時以降だとディストーション風に、浅いところから深いところまでかかります。

エレピ系のサウンドとはやはり抜群に相性が良く、シンセ系のサウンドを荒々しく奏でたい時にも非常に重宝しそうなエフェクトです。

 

 

 

約40万相当の機器と同じ演奏性能を実現

大好評であった前モデルの鍵盤と同じ「FATAR TP9」セミウェイト鍵盤を採用している今作NUMA COMPACT 2。

ひとつ変わったのは「アフタータッチ」に対応したことです。

 

 

このアフタータッチに対応したTP9は、Moog社の高級シンセサイザー「MiniMoog Model D」(市場40万円前後)で採用されているものとほとんど同様のもの。

 

厳密にはNUMA Compact 2ではTP9 PIANO」という鍵盤形状がピアノに特化されたピアノ型ボックス鍵盤を採用しており、シンセ鍵盤を採用するMini Moog Model Dと違ってピアノらしいタッチが追求されている点も大切なポイント。

 

 

10万円にも満たないNUMA Compact 2ですが「FATAR TP9」の優れた鍵盤感触をご堪能いただける、というのは鍵盤愛好家ならば誰しも驚ける事ではないでしょうか。

 

 

ちなみに「FATAR」社については以前の記事「おすすめ鍵盤 FATR – STUDIOLOGIC」で、「TP9鍵盤の素晴らしさ」については前モデルの特集「大人気の軽量ステージピアノ、NUMA COMPACT」で深く掘り下げた通り。

 

もし「studiologicって初めて聞くなぁ」という方は是非ご参照ください。

おすすめ鍵盤 FATAR – STUDIOLOGIC

大人気の軽量ステージピアノ、NUMA COMPACT

 

 

 

新搭載のアフタータッチとは?

ピアノ音色では関係ないですが、キーボード/シンセ系音色では非常に重要な機能、それがアフタータッチです。

これは言葉通り「鍵盤を押さえた後」の「押し込み具合」で音色に微妙な変化が起こるという機能です。

 

NUMA COMPACT 2 で言えば、オーケストラ音色などでは「押し込み」を強くするほど強いビブラートがかかる、という具合。一度体験すると「いかに演奏表現力が変わってくるか」がよくわかる、人気の機能ですので是非ご体験頂きたいところです。

 

さて、このNUMA COMPACT 2のアフタータッチ、DTMでのマスターキーボードとして利用する場合もUSB-MIDI/アナログMIDI共に出力されます。DTMソフトウェア側ではアフタータッチ情報を様々にエディットできるので、一つの鍵盤で様々なサウンドパフォーマンスを可能にする事も可能になるでしょう。

 

 

 

ダンパー・ソステヌート・ソフトペダルに対応

本物のピアノ演奏で表現力を身につけた人にとって電子ピアノ、特にステージピアノは表現力には不満があることでしょう。それは本物のピアノには3本のペダルがあり、これで演奏の幅を広げているからです。

 

例えばソフトペダルであれば「一時的にキーボードのマスターボリュームを絞れば良い」などという妥協的な手法で賄う方法があるにはありますが、本来ソフトペダルは音量が下がるだけでなく音色そのものも変わるものですから、ボリューム操作というのは「妥協した方法」といえるでしょう。

 

 

studiologicでは、この問題に対して「演奏性能を極限までこだわった」マスターキーボードの「SL88」シリーズでのみ「studiologic SLP-3D」というペダルを利用する事で3本ペダルの挙動を再現できるようになっていました。(ただしソフトウェア側が対応している必要がある)

 

しかし今回、なんと本製品NUMA COMPACT 2でも「studiologic SLP-3D」に対応を果たしました。

この「3本ペダルに対応」というのは、その演奏方法に対応した音源が無ければ無意味なものですから、当然NUMA COMPACT 2は3本ペダル音源の「繊細な表現力」を備えています。

 

またUSB-MIDI/アナログMIDIアウトに対しても「SLP-3D」の信号が反映されますので、SYNYHOGY IVORYなどの3本ペダル表現に対応した高品位ソフトウェアのコントロールまで可能。

 

 

音質が優れているだけでなく「演奏表現」にも対応する高品位音源というのは、他のステージピアノでは見られない大きな特徴と言えるでしょう。

 

 

 

「1台」で「2つ」の音色を同時に

NUMA COMPACTは88つの鍵盤のどこかで区切り、右側が音色A・左側が音色Bというような使い方ができました。

これはキースプリット等と呼ばれる機能で、NUMA COMPACTに限らずしばしば見かける機能です。

 

ところでNUMA COMPACT 2の増加した音源の中には「ドラム音源」や「パーカッション音源」も含まれており、これがなかなか良い音。

ということは「リズムを鳴らしながら鍵盤演奏を」ということもNUMA COMPACT 2では可能というわけです。

 

ちなみにスプリットした各々の音色ごとにMIDIチャンネルを設定可能。

外部ソフトウェアのマスターキーボードとして利用する場合、ライブはもちろんDTM制作環境でも非常に重宝するでしょう。

 

※こうしたスプリット/レイヤー設定も99セット用意されたプリセットへ保存できるので、複雑な設定を組んだとしても即座にリコールできます。

 

 

 

電子機器が忘れた「音楽の楽しさ」を思い出させる内蔵スピーカー

個人的に特に評価しているのが、NUMA COMPACT 2 では「スピーカー」を内蔵しているということ。

前項で新しい音源を搭載したことをご紹介致しましたが、この音源の多くはステレオ音源ですので、スピーカーもステレオ仕様となっています。

 

といっても私が評価しているのは「スピーカーの質がめっちゃいいですよ!」ということではなく、、、、演奏が楽しくなりますよ、ということです。

 

その理由は2つ、ここでご紹介してみたいと思います。

 

 

 

手に取ると、すぐそこに音楽

ファミリーキーボードなどにふれると、何か楽しさを感じませんか?

もちろん音はチープだし、鍵盤だってオモチャの域を抜け出せませんが。

この楽しさには「即席性」があるのだと思います。

 

 

いまや音楽は聴くのも作るのも「コンピュータ」が欠かせず、それがため楽器を触ろうかと思うと沢山の機器に電源を入れるところから始めなければなりません。

そんな煩わしさ、悲しい状況からNUMA COMPACT 2は解放してくれるでしょう。

 

 

内蔵スピーカーは 10W x 10W の小型スピーカーですからボリュームが上がりすぎると歪みます。

せっかくの高品位な内蔵音源も、このスピーカーではチープに感じてしまいます。

(それでもファミリーキーボードなどとは比較にならない高品位ですが)

 

でも、問題はそこではなく「手を伸ばせばすぐに音楽が始められる」というところにあると思います。

 

 

音楽のインスピレーションは突然、ふとした瞬間に訪れます。

コンピュータの電源を入れて起動するのを待っている間に、今までで最高の楽曲ができたかもしれない可能性が失われることを心配する必要はありません。

インスピレーションが湧かず心穏やかでない時も、ほんの一瞬の思い切りでNUMA COMPACT 2 の電源さえ入れれば即座に楽曲制作を始めることもできます。

暇を見つけた時にネットサーフィンやマンガを読むのではなく、適当に演奏を楽しむ事が身近にもなります。(こうした時に突然良いフレーズを思いついたりしますよね笑)

 

 

NUMA COMPACT 2の前にポンと座るだけで即座に音楽が始められるというのは、現代にとって実は贅沢なことなのかもしれません。

 

 

 

本物のピアノに慣れた人にこそ重要な内蔵スピーカー

ピアノという楽器は、弦や響板や鍵盤が一体となった楽器であることはご存知かと思います。

ピアノ奏者なら皆ご存知でしょうが、この構造ゆえにピアノを弾くと音の振動が鍵盤から指先へ伝わります。

この感触が、ピアノ演奏においてとっても重要かもしれません。

 

私は楽器販売をして10年以上になりますが、ピアノから電子鍵盤まで演奏される玄人の方で、「スピーカー有りか無しか」という選択肢が生じた場合、その9割以上は、電子鍵盤に内蔵スピーカーが必要だとおっしゃいます。中には、スピーカー「非」内蔵の鍵盤に、ご自身でスピーカーを添え付けられた方もいらっしゃいました。

 

 

なぜそこまで?と普通は思ってしまうものですが、、、

それは「弾くと伝わる感触」がないと、演奏への「気持ち」が入らないのだとか。

 

 

さて、良くある小型スピーカーでは「低音が出ない」などの問題がありがちですので、10W x 10WのNUMA COMPACT 2のスピーカーはこうした点で「指に音が伝わるのか?」をチェックしてみましたが、、、、一般家庭レベルの音量でも一番下から上まで、きちんと振動を感じることができました。

 

是非熱く、演奏を楽しんで頂ければと思います。

 

 

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4 Comments

  1. nuuma
    2017年9月30日
    Reply

    アウトプットにプラグを差すと、内臓スピーカーは鳴らなくなってしまうのでしょうか。

    • STAFF_K
      2017年10月3日
      Reply

      内蔵スピーカーはラインアウトの接続でON/OFFが切り替わる仕様ではありません。ちなみにヘッドフォンアウトとは連動しており、ヘッドフォンを接続するとスピーカーは自動でオフになります。が、Global設定というところから自動オン/オフの設定が可能ですので、ニーズがあるかわかりませんが「ヘッドフォンと内蔵スピーカーを両方鳴らす」という事も可能です。宜しくお願い致します!

  2. 匿名
    2017年10月6日
    Reply

    PCにUSBで繋いでmidiキーボードのように使うことは可能ですか?

    • STAFF_K
      2017年10月7日
      Reply

      前機種「NUMA COMPACT」がステージ「USB MIDI」コントローラーキーボードとして評価が高かった面は受け継いでいますので、もちろん可能です!
      たしか本体Global設定から細かい「MIDI送信のセッティング」も行えたハズ、、、ご利用の音源/DAWソフトウェアによってはMIDI受信の詳細設定がしづらい/行えないものもありますので、USB-MIDIキーボードコントローラーとして比較的優秀な部類じゃないかと思います。(細かい「こんなこと」というご希望があるようでした、一度メーカーへも確認させて頂きますのでご相談下さい♬)

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